AGA治療薬を飲みながら脱毛していいのか。こういう質問をたまに受けます。
毛を生やすための治療と、毛を減らすための治療。一見すると真逆のことをしているように見えるので、不安になるのも無理はありません。
実際、こんな声をよく聞きます:
- 今まさにAGA治療をしていて、脱毛を始めるべきか迷っている
- すでに脱毛中だけど、薬の影響で効きが悪くなっている気がする
- 両方やりたいけど、お金が無駄になるんじゃないか
この記事では、AGA治療と脱毛が「ぶつかって見える」理由を整理しながら、複数のクリニックの見解や現場の考え方を踏まえて、どう判断すればいいのかをまとめます。
不安を煽るためでも、無理に勧めるためでもありません。悩んで止まっている人が、自分で納得して前に進めるよう、判断材料を並べることが目的です。
先に結論
AGA治療薬を飲みながら脱毛しても、脱毛効果が落ちることはありません。
ただし、前提として:
- 脱毛に対する期待値を適切に設定する必要がある
- 「毛が増えて見える」現象への理解が必要
- 場合によっては治療方法の選択肢を検討する価値がある
この誤解がなぜ生まれるのか、そして実際はどうなのか、順番に整理していきます。
脱毛とAGA治療薬は作用点が違う
まず前提として、両者は毛に対して作用しているポイントが全く違います。
医療脱毛の仕組み
医療脱毛は、毛にレーザーを当てた時に生じる熱で、毛根の中にある発毛工場を破壊する行為です。
具体的には:
- 毛のメラニンに熱を集める
- その熱を毛根の奥に伝える
- 毛母細胞や毛包幹細胞といった、毛を作り続けるための中枢を熱破壊する
これは物理的な破壊行為です。
AGA治療薬の仕組み
一方、AGA治療薬は血流やホルモン環境に作用する薬です。
毛を育てる「環境」を整えるのが目的で、レーザーの熱作用とは全く別の領域で働いています。
各AGA治療薬の作用を詳しく見る
ミノキシジル
ミノキシジルは毛根周囲の血流を改善し、毛包に栄養が届きやすい状態を作ります。
その結果:
- 細く弱っていた毛が少し太くなる
- 休止期に入っていた毛が成長期に戻る
つまりミノキシジルは、毛を「育てる環境」を整える薬です。毛を増やすというより、毛が育ちやすい土台を作る、そういうイメージが近いです。
フィナステリド・デュタステリド
この二つは、AGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑える薬です。
DHTは:
- 毛の成長期を短くする
- 毛を細らせる
- 最終的に毛包を弱らせる
フィナステリドやデュタステリドは、このDHTの働きを抑えることで、毛が抜けるスピードを遅らせ、現状維持や改善を狙います。
つまりこちらも、毛を守る薬であって、脱毛レーザーの熱作用を邪魔するものではありません。
実際の臨床現場ではどう捉えられているのか
ここまでが、一般的に言われている見解です。
では実際に、脱毛クリニックの現場ではこの問題をどう捉えているのか。
私が提携しているクレストスキンクリニックの院長に、直接意見を聞いてみました。
クレストスキンクリニック院長の見解
院長の見解はこうです。
「このテーマに関しては、現時点でははっきりとした文献が多いとは言えません。ただし理論的には、レーザーによって毛を作る細胞がしっかりと破壊できていれば、AGA治療薬を使用していること自体が脱毛効果に必ずしもマイナスになるとは言い切れない、という考え方になります」
むしろ、ミノキシジルなどの影響で毛が太くなった部分に関しては、レーザーの反応が良くなり、結果として脱毛効果にプラスに働く可能性もある、とのことでした。
現場感覚として挙げられる懸念点
一方で、現場感覚として懸念される点もあります。
- ミノキシジルの影響で産毛が濃く見えるケースがあること
- 上半身を中心とした、もともと脱毛が難しい部位では「脱毛しにくくなるのではないか」という仮説が一部で語られている
ただし、この点については「現時点では明確な結論は出ておらず、あくまで仮説の域を出ない」という説明でした。
フィナステリド・デュタステリドについて
フィナステリドやデュタステリドについては、レーザー脱毛と併用することで、むしろ効果が見られたとする報告もあるとのことです。
実際に、クレストスキンクリニックでは、こうした見解を裏付ける形で関連する研究論文も提示してもらいました。
次に、その研究データをもとに、もう少し踏み込んで整理していきます。
AGA治療薬と脱毛を併用した研究データについて
AGA治療薬と脱毛の併用については、実際に臨床研究データも存在します。
いずれも、フィナステリド外用を使用しながらレーザー脱毛を行った場合に、脱毛効果がどうなるかを検証した研究です。
研究データ①:IPL脱毛とフィナステリド外用の併用
一つ目は「A randomized double blind, vehicle controlled bilateral comparison study of the efficacy and safety of finasteride 0.5% solution in combination with intense pulsed light in the treatment of facial hirsutism」という研究です。
IPL脱毛とフィナステリド外用を併用した場合の効果を、二重盲検で比較しています。
研究方法:
- 左右で条件を分ける
- 片側にフィナステリド外用、もう片側にプラセボ外用を使用
- 同条件でIPL脱毛を実施
結果: どちらの側も毛量は減少しましたが、フィナステリドを併用した側のほうが有意に毛量が少ないという結果が示されています。
研究データ②:ダイオードレーザー脱毛とフィナステリド外用の併用
二つ目は「The effect of topical finasteride 0.5% on the outcome of diode laser therapy in the treatment of excess facial hairs in the women with hirsutism」というランダム化比較試験です。
ダイオードレーザー脱毛とフィナステリド外用の併用効果を検証しています。
結果:
- 治療前の毛量は両群で差がなかった
- 6か月後および1年後のフォローアップにおいて
- フィナステリド併用群のほうがプラセボ群より毛量が少ない
これらの研究データが示すもの
これらの研究から分かるのは、少なくともフィナステリドを使用していることで、レーザー脱毛の効果が落ちるとは言えないという点です。
むしろ条件によっては、脱毛効果が補助される可能性があるというデータが存在します。
ただし、これらは主に外用フィナステリドを用いた研究であり、すべてのケースに当てはまると断言できるものではありません。
次の章では、それでも現場で「効いていない気がする」と感じる人が出てくる理由について、整理していきます。
それでも「効いていない気がする」と感じる理由
先ほど紹介したクレストスキンクリニック・森口院長のコメントの中に、重要な示唆があります。
「一方で感覚としては、たしかに産毛などが濃くわかりやすく増えたことと、部位的にも脱毛困難部位(特に上半身は)であったりすることなどから、脱毛しにくくなるのではないかという仮説は一部言われています(答えはわかりませんが)」
問題の本質は「終わりが見えない感覚」
この発言から推測できるのは、ミノキシジルの投薬そのものが脱毛を邪魔しているというよりも、
- 普段であれば気にも留めない産毛が
- ミノキシジルによって活性化され
- 目に見える形で増えてくることで
- 「やってもやっても終わらない」と感じやすい状態を作っている
という点です。
産毛という壁
さらに、臨床の場で起きていることを踏まえると、もう一つ重要な前提があります。
ミノキシジルによって、たとえ毛が濃くなったとしても、新たに生えてくるのは多くの場合、脱毛が難しい性質を持つ産毛です。
産毛は:
- メラニン色素が薄い
- レーザー脱毛との相性がもともと良くない
- 照射を重ねても効果が頭打ちになりやすい
そもそも、医療レーザー脱毛で「完全な無毛状態」を作ること自体が、現実的には難しいという前提があります。
この前提を知らないまま、ミノキシジルを併用すると:
- 産毛が増えて見える
- 抜けきらない
- 終わりが見えない
という感覚が強まり、ストレスを感じやすくなる。
ここに、ミノキ併用時の脱毛が「効いていないように感じる」最大の理由があると考えられます。
私自身の経験から
ちなみに、私自身はミノキシジルを服用していません。
そのため、産毛が目立つような変化を経験しておらず、ある程度気になる濃い毛が減った時点で、これ以上脱毛を続けたいという気持ちは自然と無くなりました。
この違いは、脱毛効果の有無というより、どこまでをゴールとするか、その感覚の違いだと感じています。
ミノキシジル投薬がNGなクリニックが存在する理由
ここまでの話を補強する事実として、ミノキシジルを投薬している患者は、そもそも契約不可としている脱毛クリニックが存在します。
SKクリニックの方針
私の別の提携院であるSKクリニックでは、ミノキシジル投薬中の患者は脱毛契約ができないという方針を取っています。
これは、ミノキシジルと脱毛を併用すると必ず効果が出ないという意味ではありません。
SKクリニックが重視しているのは、レーザー脱毛の限界と患者側の期待値のズレです。
無制限プランのジレンマ
SKクリニックでは、無制限ヒゲ脱毛プランを提供していますが、クレストスキンクリニック同様、レーザー脱毛で完全に毛をゼロにすることはできないという前提に立っています。
そのため、一定以上レーザー照射の意味がなくなった状態に到達した患者は、「卒業」という形で通院を終了する仕組みを採用しています。
一方で、ミノキシジルを投薬している場合:
- ほほを中心とした産毛が活性化して目立ちやすくなる
- 無制限プランであるがゆえに「まだ毛がある」「無くなるまで通いたい」と判断
- 通院の継続を求めるケースが発生しやすくなる
過度な照射のリスク
しかし、この判断は脱毛効果の観点から見ても、必ずしも合理的ではありません。
産毛は:
- もともとレーザーとの相性が悪い
- 照射を重ねることで効果が頭打ちになる
- 硬毛化リスクを高める可能性もある
そのため、SKクリニックに限らず、私剛毛男爵自身も、ほほに対する過度なレーザー照射自体を積極的には勧めていません。
本当の理由
ミノキシジル投薬者の契約不可という方針は、ミノキシジルが悪いからではなく、脱毛の限界と患者の期待値が噛み合わなくなるリスクを、あらかじめ避けるための判断と考えるのが自然でしょう。
まとめ:AGA治療と脱毛を併用する際の現実的な提案
最後に、ここまで説明した上での私からの提案をお話しします。
学術根拠もなく、そもそもAGA治療をしていない立場の剛毛男爵の主張です。「それはどうなの?」と思う場合は、この議題を発展させるべく忌憚ない意見をいただければ幸いです。
提案①:期待値を適切に設定する
AGA治療に関係なく、レーザー脱毛で完全無毛は不可能ですし、最強の脱毛と呼ばれるニードル脱毛でも細い産毛の脱毛は不可能とされています。
AGA治療をしている以上、気になる部位は出てきてしまう。この事実を踏まえた上で、以下を目標設定とすることを推奨します:
- 本来の毛質が太い部位の脱毛
- 脱毛が容易な部位(脚・ワキなど)の脱毛
上半身は比較的脱毛が困難な部位のため、どうしても抜けにくい細い毛が目立ってしまいストレスを感じやすという事態になります。
それでも無毛を目指したいという気持ちも分かりますし、ミノキシジルを飲めば産毛も濃くなるので、本気の完全脱毛を目指したいという方にとってはありがたいことかもしれません。
ただし、コストが非常にかかることは念頭に置いておくことを推奨します。
提案②:ミノキシジルの選択肢を検討する
これは、あくまで私個人の提案です。
ミノキシジル内服は、AGA治療として有効である一方、全身の毛に影響を及ぼすため、脱毛と同時進行する場合、どうしても産毛が目立ちやすい状態を作ります。
その結果、脱毛効果そのものが落ちているわけではなくても:
- 終わりが見えない
- まだ残っている
という感覚が強まり、精神的なストレスが増えやすくなります。
選択肢の整理
もし、脱毛を優先したい、脱毛のゴールをなるべく早く見極めたいという場合は、一時的にミノキシジル内服を避けるという選択肢も現実的だと考えています。
どうしてもミノキシジルが必要、内服をやめる選択は取れないという方については、全身に作用する内服ではなく、塗りミノキ(外用ミノキシジル)を検討する余地はあります。
外用であれば:
- 作用は頭皮に限定されやすい
- 脱毛部位の産毛を過度に刺激するリスクは内服よりも抑えられる
もちろん、AGA治療の効果や満足度は、内服と外用で差が出る場合もあります。
最も大切なこと:優先順位を明確にする
そのため、AGA治療を最優先するのか、脱毛の完結を優先するのか、どこに軸を置くかは人によって違って当然です。
大切なのは、どちらも同時に完璧を求めないこと。
- ミノキシジル内服を続けながら脱毛する
- 脱毛を優先して一時的に内服を控える
- 外用に切り替えてバランスを取る
こうした選択肢を理解した上で選ぶだけでも、無駄な不安や後悔はかなり減らせると考えています。
まとめ:AGA治療と脱毛を併用する際の現実的な提案
最後に、ここまで説明した上での私からの提案をお話しします。
学術根拠もなく、そもそもAGA治療をしていない立場の剛毛男爵の主張です。「それはどうなの?」と思う場合は、この議題を発展させるべく忌憚ない意見をいただければ幸いです。
提案①:期待値を適切に設定する
AGA治療に関係なく、レーザー脱毛で完全無毛は不可能ですし、最強の脱毛と呼ばれるニードル脱毛でも細い産毛の脱毛は不可能とされています。
AGA治療をしている以上、気になる部位は出てきてしまう。この事実を踏まえた上で、以下を目標設定とすることを推奨します:
- 本来の毛質が太い部位の脱毛
- 脱毛が容易な部位(脚・ワキなど)の脱毛
上半身は比較的脱毛が困難な部位のため、どうしても細い毛が目立ってしまうという事態になります。
それでも無毛を目指したいという気持ちも分かりますし、ミノキシジルを飲めば産毛も濃くなるので、本気の完全脱毛を目指したいという方にとってはありがたいことかもしれません。
ただし、コストが非常にかかることは念頭に置いておくことを推奨します。
提案②:ミノキシジルの選択肢を検討する
これは、あくまで私個人の提案です。
ミノキシジル内服は、AGA治療として有効である一方、全身の毛に影響を及ぼすため、脱毛と同時進行する場合、どうしても産毛が目立ちやすい状態を作ります。
その結果、脱毛効果そのものが落ちているわけではなくても:
- 終わりが見えない
- まだ残っている
という感覚が強まり、精神的なストレスが増えやすくなります。
もし、脱毛を優先したい、脱毛のゴールをなるべく早く見極めたいという場合は、一時的にミノキシジル内服を避けるという選択肢も現実的だと考えています。
どうしてもミノキシジルが必要、内服をやめる選択は取れないという方については、全身に作用する内服ではなく、塗りミノキ(外用ミノキシジル)を検討する余地はあります。
外用であれば:
- 作用は頭皮に限定されやすい
- 脱毛部位の産毛を過度に刺激するリスクは内服よりも抑えられる
もちろん、AGA治療の効果や満足度は、内服と外用で差が出る場合もあります。
提案③:第三の選択肢 – 頭皮のアートメイク
ここまでの内容を踏まえた上で、もう一つの選択肢も提示しておきます。
- 脱毛中に「効果が見えにくい」状態がストレスになる
- デュタステリドやフィナステリドの考え方は理解した
- ただし塗りミノは使いたくない
- それでも頭皮の見た目が気になる
こう感じる方もいるかもしれません。
そういった方にとって、選択肢の一つになり得るのが頭皮のアートメイクです。
頭皮のアートメイクは、毛を増やす治療ではありませんが、見た目の密度感を補うことで、薄毛による印象を和らげる手段です。
AGA治療と脱毛を同時に考える中で、「毛をどうするか」だけに選択肢を限定しない、という意味では現実的な判断の一つだと感じています。
なお、この提案は、この記事を読んだ方が、脱毛を進めたい気持ちと薄毛が気になる気持ち、その両方を抱えたまま立ち止まらずに済むよう、選択肢を示すことを目的としています。
当方は、頭皮アートメイクの紹介に関して報酬を受け取っておりません。そのため、施術内容や価格、リスクに関する詳細説明について、私が責任を持つ立場ではありません。
具体的な内容については、興味を持たれた方ご自身で、各サービスの担当者に直接お問い合わせください。
脱毛かAGA治療か、どちらかを我慢するという二択ではなく、別の解決手段もある。そのことを知った上で、判断してもらえればと思います。
最も大切なこと:優先順位を明確にする
AGA治療を最優先するのか、脱毛の完結を優先するのか、どこに軸を置くかは人によって違って当然です。
大切なのは、どちらも同時に完璧を求めないこと。
- ミノキシジル内服を続けながら脱毛する
- 脱毛を優先して一時的に内服を控える
- 外用に切り替えてバランスを取る
- 頭皮アートメイクという別の選択肢を検討する
こうした選択肢を理解した上で選ぶだけでも、無駄な不安や後悔はかなり減らせると考えています。
結論
AGA治療薬が脱毛効果を妨げることはない、という結論は変わりません。
ただし、両方を同時に行う場合は:
- 期待値の調整が必要
- ゴール設定の見直しが必要
- 場合によっては治療方法の選択が必要
これらを理解した上で、自分にとって最適な選択をすることが重要です。
完璧を求めすぎず、現実的な落としどころを見つける。それが、AGA治療と脱毛を両立させる最も賢い方法だと考えています。
補足:本記事内で名前を挙げた提携院については、無料カウンセリング時に「剛毛男爵の記事を見た」と伝えることで条件が変わる場合があります。
詳細は各提携院のPR記事内で明記しています。
提携院PR記事






